インタラクティブ発表(3月6日)

全身触覚における鎖骨部位の有効性と評価 (243)
(B01) 全身触覚における鎖骨部位の有効性と評価

音を含んだコンテンツ体験において,全身への触覚呈示によって「自己が環境に囲まれている」という没入感を実現する手法が数多く提案されてきた.しかしこれらは身体広範に振動を呈示するため,振動子の数が多くなってしまう,装置が大掛かりになるという問題を生じやすい.我々は以上の問題点を解決する手法として,鎖骨部位へ振動を呈示することにより全身の骨を伝播して身体広範に振動を呈示する手法を提案した.本稿では音楽とともに振動を身体各部に呈示した際の主観評価を行い,鎖骨部位の優位性をユーザが主観的に知覚する振動の「心地よさ」と音楽コンテンツへの影響に関する検証した.

櫻木 怜,池野 早紀子(電通大),岡崎 龍太(電通大/JSPS),梶本 裕之(電通大/JST)
レーザスキャナを用いたサッカー選手の半自動追跡 (245)
(B02) レーザスキャナを用いたサッカー選手の半自動追跡

近年,テレビ放送やインターネットの動画サイトなどの映像視聴の形式が多様化してきている.これを生かした視聴システムの研究が盛んに行われており,特にサッカーは人気が高く,研究対象としてよく挙がっている.これらの研究は,サッカー選手の移動情報を用いるものが多いが,画像特徴からこれを正確に推定するのは困難である.本研究では,レーザスキャナを用いたサッカー選手の追跡手法を提案する.レーザスキャナの測定情報を基にするため,正確な選手位置情報を得ることが出来る.手法は半自動的であり,多くの追跡処理を自動で行い,一部の修正を手動で行う.手動修正は,直感的なインタフェースを操作して行う.提案手法によってデータ処理実験を行った.その結果,正しい選手の移動軌跡を得ることが出来た.また,すべての処理のうち手動操作が必要な割合を1.3%に抑えることが出来た.

壁谷 勇磨,冨安 史陽,間瀬 健二(名大)
前腕CGモデルの動作遅延が身体感覚の転移および心理生理反応に及ぼす影響の検討 (250)
(B03) 前腕CGモデルの動作遅延が身体感覚の転移および心理生理反応に及ぼす影響の検討

運転をしていて自動車が他の自動車と接触しそうになったら身体をよけてしまう等,実際には自己の身体ではない対象を自己の身体の一部として捉え,その動きにつられて自己の身体が動いてしまうことがある.このような身体感覚の転移は,脳内の身体図式表象の柔軟な変化(入來, 2000)を示す好例であり,体性感覚と視覚の両感覚から入力される運動情報が時間的に同期していることが重要であると予測できる.本研究では,参加者の動作が反映される前腕CGモデルを作成し,モデルの動作遅延が身体感覚の転移および心理生理反応に及ぼす影響を検討した.その結果,動作遅延がない場合に身体感覚の転移は強く生じ,かつ心拍数の増加も確認され,課題に対してどの程度対処可能であるかということが影響を及ぼす可能性が示唆された.

渡邉 翔太(名大/文京学院大),長野 祐一郎(文京学院大),川合 伸幸(名大)
通所介護事業所における黒電話型デバイスの実践 (248)
(B04) 通所介護事業所における黒電話型デバイスの実践

通所介護事業所において施設利用者・職員に対して偶発的なコミュニケーションを提供できる黒電話型デバイスの制作を行い,インタラクティブ・デバイスを介護施設で用いることの可能性と問題点について考察を行う.マイコン制御により擬似的な着信と発信の二つの体験方法がある黒電話型デバイスからは,特定の利用者だけでなく職員も含めたコミュニケーションの創発を促す音声が再生される.これにより,ケアする側,される側といった関係の固定化による負担感を変える可能性がある.

高垣 直人,望月 茂徳,鈴木 岳海(立命館大)
調理行動による認知リハビリテーションのための振り返り支援システムの提案 (251)
(B05) 調理行動による認知リハビリテーションのための振り返り支援システムの提案

我々は,認知症患者や高次脳機能障がい者に対して,調理行動を認知リハビリテーション対象とし,障がい者の自立を促進するための在宅における遠隔認知リハビリテーションというリハビリテーション方式に取り組んでいる.本研究では,調理行動における遂行機能と注意行動に着目する.調理レシピを基にした遂行評価と注意行動指標により,遂行機能と注意行動を点数化し,その点数を振り返り支援システムに反映させる.振り返り支援システムでは,自身の点数と実際の映像を見ながらフィードバックすることでより自発的にリハビリができるようなシステムを目的とする.

渋谷 咲月,水野 翔太,大井 翔,池ヶ谷 剛,佐野 睦夫(大阪工大),中山 佳代,大出 道子(大阪府立障がい者自立センター)
認知症の人の行動・心理症状の理解に向けた情動表現フレームワークの開発 (252)
(B06) 認知症の人の行動・心理症状の理解に向けた情動表現フレームワークの開発

認知症ケアにおいて対応が難しいとされる行動・心理症状(BPSD)の理解支援に向けた分析基盤を開発した.事例映像対し,看護師と認知症の人のマルチモーダルデータの記述と,さまざまな観点でのデータの可視化が可能な分析基盤である.特に,認知症の人の行動と情動の関係性に着目し,認知症の人の行動からその行動の背後にある情動を分析することが可能である.本フレームワークを用いて,事例映像において攻撃的な行動を示した要因を分析した.分析を重ね,行動・状況と情動の関係性が明らかになっていくことで,なぜその状態になるのかを看護師や介護職の方が学べるコンテンツへ発展すると考えられる.

小俣 敦士,菊池 拓也,石川 翔吾,竹林 洋一(静岡大)
Type harvesting マテリアルの経年変化を利用したフォント制作手法の検討 (267)
(B07★) Type harvesting マテリアルの経年変化を利用したフォント制作手法の検討

type harvestingはグラフィックデザインに時間経過による表現を与える研究である.このシステムでは,約一カ月の時間経過によって変化するインキの印刷物をインターバル撮影し,その変化を記録しつづけ視覚的に良い“頃合い”を探る.物理環境での経年変化によって生まれたグラフィカルなマテリアルを,デジタル世界に再度取り込み,新たなグラフィカル表現に適用していく.

小原 亘,筧 康明(慶大)
柔軟膜センサによる運動時の関節の動作計測 (256)
(B08) 柔軟膜センサによる運動時の関節の動作計測

スポーツにおける動作の評価を主として,人間の動作を計測方法が求められている.本論文では,装着しても違和感の無い柔軟性と薄さを兼ね備えた柔軟膜センサを提案する.柔軟膜センサは柔軟なウレタンを主材料としており,自身の伸びの程度を静電容量として変化させることができる.実験により,人間の関節部の皮膚の伸びを計測することでその関節の角度を計測可能なことを検証する.

中本 裕之(神戸大),平田 一郎(兵庫県立工業技術センター),大高 秀夫(バンドー化学),多田 充徳(産総研),小林 太,小島 史男(神戸大)
Notes-nuggetter: Twitterを用いた不可逆的・集合的音楽創作システム (150)
(B09) Notes-nuggetter: Twitterを用いた不可逆的・集合的音楽創作システム

現在,Twitter等のSNSの普及により,相互の状況や時間を問わない手軽なコミュニケーションが一種の社会形態となっている.また,多くの人々がPCを所有する今日,作曲や音楽制作に特別な設備やスキルが不要となりつつあり,気軽に楽しめるようになった.そこで本研究では,音楽制作をさらに手軽に,直観的な操作で行えるようにするとともに,Twitterを利用してユーザ間で集合的かつ不可逆的に音楽作品を創作できるシステムNotes-nuggetterを提案する.

鳥谷 輝樹,福成 毅,西本 一志(北陸先端大)
遺伝的アルゴリズムによるペアプログラミング実習のペア編成・座席配置の最適化とその視覚化 (273)
(B10) 遺伝的アルゴリズムによるペアプログラミング実習のペア編成・座席配置の最適化とその視覚化

ソフトウェア開発において,他者と協働しながら成果を出すスキルは近年重要性を増しており,そのニーズに応えられる学習環境の構築は喫緊の課題といえる.著者のひとりは,そのようなスキルの獲得を見据えた初学者向けのペアプログラミング実習に向けて,ペア編成・座席配置の最適化を遺伝的アルゴリズムですでに試みたが,授業における実運用のためには最適化の結果を円滑に利用するための情報の視覚化が重要である.本研究ではそのための視覚化のシステムの開発をWebベースで行った.そのシステムの機能紹介と,今後の課題について述べる.

上原 涼,向山 慎二,鈴木 聡,小方 博之(成蹊大)
会話記録からワーカー記録を客観的に作成する技法(コミュニティ・オーガナイザーのワーカー記録に関して) (276)
(B11) 会話記録からワーカー記録を客観的に作成する技法(コミュニティ・オーガナイザーのワーカー記録に関して)

コミュニティ・オーガナイザー(ワーカー)は、クライアントに対するアカウンタビリティー、自己評価あるいはスーパーバイザーによる評価のため、あるいは第三者への技術伝達のため、観察してきた事柄を「ワーカー記録」として残してきた。しかし、ほとんどの場合ワーカー自身の主観的な分析によって記述されてきたため、その分析の証憑の客観性について問題があった。本論はワーカーとコミュニティとの全会話記録をテキスト化したデータから、或る論理性を持ったテキストマイニングによって重要な会話群を抽出して「ワーカー記録」を作成することにより客観性を担保する技法を提示するものである。

島田 昭仁,小泉 秀樹(東大)
Web-DBにおける視覚的操作支援ツールの構築 (148)
(B12) Web-DBにおける視覚的操作支援ツールの構築

インターネット時代の昨今,さまざまなWebベースのCMS(Contents Management System)が存在している.本報告では,「データビジュアライゼーション」と「知識マネジメント」の融合的観点から,CMSを視覚的に支援することのできるユーザーインターフェースを提案する.具体的には,独自に開発を進めている3D-CGを活用したデータビュアー「KACHINA CUBEシステムver.3」を取り上げ,1)データセット全体の俯瞰2)変量の表現,3)データとの対話デザインといった点を中心にデモンストレーションをおこなう.

斎藤 進也(立命館大)
Too(th) Graph ブラッシング時における歯ブラシの動体解析とその可視化 (257)
(B13) Too(th) Graph ブラッシング時における歯ブラシの動体解析とその可視化

私たちは毎日歯を磨いて,歯を清潔に保っている.歯を磨く際には,歯ブラシの動きを鏡で見ながら歯を磨いているが,殆どのブラッシング位置は鏡では見えにくい位置にあるため,歯ブラシがきちんと動いているかどうか確認できない.そこで本研究では,歯ブラシの動きを視覚的にフィードバックするシステムToo(th)Graphを提案する.Too(th)Graphは,歯ブラシの加速度に連動して3Dモデルが動き,歯ブラシがどの程度動いているのかユーザに教示し,鏡では見えにくい位置にあるブラッシング位置でも歯ブラシが動いているかどうか知らせてくれる.実験では,4名の被験者に対し,通常の歯ブラシとToo(th)Graphとで1分間のブラッシングをし,磨き残しを比較した.歯垢の染め出し剤を用いて磨き残しを計測したところ,Too(th)Graphは通常の歯ブラシよりも磨き残しを平均13.4%も減少させることがわかった.また,被験者のブラッシングの満足度を5段階で評価したところ,平均で1ポイント分の満足度が上昇することがわかった.

平場 吉揮(プロトタイピング講座/慶大),岩崎 健一郎(プロトタイピング講座/東大),玉城 絵美(プロトタイピング講座/早大)
ろぐろぐ動画: 発話に基づく体験動画の自動要約 (056)
(B14★) ろぐろぐ動画: 発話に基づく体験動画の自動要約

個人が撮影した動画は,そのままでは冗長で見返しづらいという問題がある.そのため撮影された動画のダイジェストを自動で作成する研究が多くなされている.個人的な体験という観点からすると,自身が発話した内容やその場の雰囲気が重要であり,その場の出来事の全体像を把握できる編集が求められる.そこで本稿では撮影者の発話に着目し,撮影された動画の中から撮影者の発話シーンをピックアップしたダイジェスト動画を,自動で作成するシステムを提案する.また撮影者自身が,発話がピックアップされることを意識しながらシステムを利用することで,撮影時に自然な発話が促され,その場の体験に積極的になれるという効果も期待される.撮影用のカメラは,発話を検出しやすく撮影時の負担の少ないウェアラブルデバイスを用いた.以上を踏まえ,東京大学制作展というメディアアート作品の展示会においてユーザーテストを行った.被験者に対して実施したアンケート結果から,自身の体験を見返す動画としての有効性が確認でき,また自然な発話を促す効果が示唆された.

長徳 将希,小泉 直也,苗村 健(東大)
視点と手とディスプレイの相対位置計測による拡張現実感の自己身体融合感の向上 (268)
(B15★) 視点と手とディスプレイの相対位置計測による拡張現実感の自己身体融合感の向上

拡張現実感において,画面外の自己身体と仮想物体とが融合した感覚を持つことは難しい.本研究では仮想物体に画面外から手を伸ばして触るというシナリオにおいて,触れている感覚が向上する手法を提案する.利用者の視点位置と手の位置をそれぞれ専用の3Dセンサで検出し,位置情報に基づいて3Dディスプレイ内の仮想物体を位置合わせすることにより,現実空間の手に接触したように見える仮想物体を表示する.この実現には,3Dセンサ・視点・ディスプレイの間で座標系の正確な校正や,3D眼鏡を装着した利用者の視点の3次元位置・姿勢を安定して検出することが必要で,校正法と視点検出法についても言及する.最後に実験によりシステムの評価・考察を行う.

三留 愛美,金子 直史,齋藤 友彦,鷲見 和彦(青山学院大)
食品ロスを減らすための画像を用いた食材管理システムeconcieの開発 (164)
(B16) 食品ロスを減らすための画像を用いた食材管理システムeconcieの開発

本研究では,画像を用いた食材管理システムeconcieを提案する.既存の食材管理システムの多くは,冷蔵庫内の食材の有無や残量を数値データ化することで,冷蔵庫内を直接確認しなくても食材情報を把握できる設計になっている.econcieでは,冷蔵庫を開けた時に見える冷蔵庫内の様子をそのまま画像として保存することで,外出先からでも冷蔵庫内の様子を直接確認できる設計とした.ユーザが冷蔵庫を開けると,システムは冷蔵庫に設置したWEBカメラで冷蔵庫内を自動撮影し,その画像をサーバに保存する.保存されたデータはサーバからアプリを通してユーザに提示され,外出先から画像の閲覧が可能になる.この手法により食材管理がより手軽になり,ユーザの負担を減らすことができる.

國分 茜,鈴木 優(宮城大)
ぐるペコ: 生活の中でさりげなく運動量を増加させるシステム (222)
(B17) ぐるペコ: 生活の中でさりげなく運動量を増加させるシステム

生活習慣病の患者の増加による病医療費の増加が社会問題となっている。生活習慣病は日々のウォーキングなどの軽い運動を継続して行うことで改善ができる。そこでゲーミフィケーションを用い、ゲームを通してユーザに楽しみや達成感を付与し、運動する動機作りを行う手法を提案する。本研究ではこれをビーコンを用いた位置情報ゲームとして実装。本論文では提案システムの構想および運用実験について報告する。

鈴木 真生,若尾 あすか,江指 未紗,西原 美夏,松村 耕平,野間 春生(立命館大)
ジャズ即興演奏における4ビートベースラインの2段階対話型遺伝的プログラミングによる生成 (155)
(B18) ジャズ即興演奏における4ビートベースラインの2段階対話型遺伝的プログラミングによる生成

本稿では,音楽的に矛盾がなく,かつオリジナリティを持つ4ビートベースラインを遺伝的プログラミングで探索する手法の開発について述べる.またジャズ即興演奏の伴奏「コンピング」は指定されたコードを拡張して行われるため,ベースラインとテンションノートなどで矛盾が生じることがあるため,単純なルールベース生成に落とし込めないという問題がある.提案手法では,基本的な音楽的ヒューリスティクスに基き定めたルールにをノードとして対話型遺伝的プログラミングで基本音高配列を出力するプログラムを生成する第1段階,第1段階の出力をもとにルールに基づかないベースラインの味付けをするとともに,奏者の解釈やアレンジなどによって左右されるテンションノートなどの拡張を行う対話型遺伝的プログラミングを用いて伴奏者の意向を取り込む第2段階の,2つの段階から構成される対話型遺伝的プログラミング手法により,ベースラインを生成するシステムを提案する.

安藤 大地(首都大)
疑似リアルタイムなコミュニケーションを演出するアバタチャットシステムの試作 (241)
(B19) 疑似リアルタイムなコミュニケーションを演出するアバタチャットシステムの試作

インターネットや携帯端末の普及により,モバイル端末上で行う非対面型テキストベースチャットコミュニケーションが一般的に行われるようになった.テキストベースのオンラインチャットは,簡便・手軽なコミュニケーションツールとして普及している.しかし,テキストベースのチャットではジェスチャーや顔の表情といった身体的情報,また,発話タイミングや,発話のオーバーラップといった時間的情報の伝達が困難である.そこで本研究では,アバタを介しコミュニケーションを行うことにより身体的情報を表現し,システムに仮想的な時間軸を設定することにより時間的情報を伝達可能なテキストベースチャットシステムの提案とアンドロイド端末向けwebアプリケーションとして実装を行った.

田中 圭,長谷川 大,佐久田 博司(青山学院大)
マルチウィンドウにより情報の収集・比較を可能とするWeb検索ツールの提案 (262)
(B20) マルチウィンドウにより情報の収集・比較を可能とするWeb検索ツールの提案

インターネット上には膨大な情報が存在する.にもかかわらず,ネットサーフィンに代表されるように,インターネットの情報は基本的にリンクをたどって個々のWebページを眺めていくという使い方が主流で,大抵のユーザーの視野は未だ限定されてしまっている.本研究は,インターネット上に存在する情報から,ユーザーが知りたい情報を複数抽出し,それらを比較しやすいように表示するツールを提案する.提案システムの特長は,サジェスチョンによって知りたい情報の関連項目を取得し,検索結果項目の簡略表示および取捨選択によって幅広い情報を効率よく収集できる事である.

松岡 宗人,安藤 大地,笠原 信一(首都大)
ユーザとシチュエーションに応じたターゲティング型地図ナビゲーションシステムの開発 (265)
(B21) ユーザとシチュエーションに応じたターゲティング型地図ナビゲーションシステムの開発

The purpose of this study is to develop a map navigation system which shows variable map according to the user’s spatial perception.In order to achieve this purpose, first of all, we developed a map navigation system which toggles a viewpoint as a prototype.The result of an experiment using the prototype showed that the system had some effects.Then we proposed a categories method using Sense of Direction Questionnaire-Short Form (SDQ-S) by experiments of SDQ-S and sketch maps.As a result, we developed a map system which changes a viewpoint, a rotation, and an alert function depending on the user’s spatial perception pattern categorized by SDQ-S.This system was implemented as a smartphone application.

高田 百合奈,渡邉 英徳(首都大)
高速手指動作認識による携帯端末向け多指ARタイピングインタフェース (168)
(B22★) 高速手指動作認識による携帯端末向け多指ARタイピングインタフェース

本稿では,携帯端末の背面に設置されたカメラからユーザの手指を含む実画像を取得し,オプティカルフローにより手指の動きを認識することで,実画像上に重畳した仮想キーボードで多指による空中タイピングを可能にするインタフェースを提案する.このインタフェースを備えたシステムでは,ユーザの視線方向とカメラの向きが同じであり,キーボード上にユーザ自身の手が重畳されるので,実際にキーボードがそこにあるかのような感覚でタイピングが可能である.また,手や指の姿勢認識は行わず,その動きのみの認識を行うので,複雑な処理を必要とせず高速で安定した動作が見込まれる.PCベースの実験システムでは, 1フレーム当たり約8.33[ms](フレームレートに換算して約120[fps])で手指の動き認識を実現した.提案インタフェースの性能を評価するため,キーボードアプリケーションを実験システムに実装し,多指による実時間空中タイピングを実現した.

樋口 政和,小室 孝(埼玉大)
遠隔空間内の三次元的移動を表現する: 深度情報を用いた部分重畳表示型ビデオチャットの提案 (272)
(B23★) 遠隔空間内の三次元的移動を表現する: 深度情報を用いた部分重畳表示型ビデオチャットの提案

我々はこれまでに可動枠を用いた部分重畳表示型ビデオチャットシステム「ドアコム」を開発してきた.ドアコムは,現実空間に存在する枠を介して遠隔地間を仮想的につなぎ,ユーザが相手の空間内を平面的に動き回ることができるようにするシステムである.しかし,このシステムでは双方向二次元的な動きしかできず,「相手の空間で指示操作をしている感覚」や「相手の空間へ侵入している感覚」に関しては,十分な効果を与えられていないことが課題であった.そこで本研究では,ビデオチャットにおいて遠隔空間内を三次元的に移動可能な仕組みを提案する.本提案では,深度センサーを用いて遠隔の空間をつなぐことで,遠隔空間内のを三次元的移動を表現し,「遠隔空間内に隠れる」「遠隔空間内を指差す」という重畳表示ならではの表現を実現する.

濱上 宏樹(和歌山大),宮部 真衣(京大),吉野 孝(和歌山大)
スマートフォンとクラウドを利用したインタラクティブディスプレイシステムの提案 (228)
(B24) スマートフォンとクラウドを利用したインタラクティブディスプレイシステムの提案

本研究では,ディスプレイを窓のようにして仮想空間を覗き込むような感覚を実現する,インタラクティブディスプレイシステムを提案する.提案システムでは,スマートフォンと標準的なPCおよびディスプレイといった汎用的な装置とクラウドを利用して,簡易的な装置立てによりCAVEシステムのようなディスプレイシステムを実現する.ユーザが持つスマートフォンのカメラによりARマーカとの位置関係をリアルタイムに取得し,ユーザの移動に合わせて映像をリアルタイムに描画することで,強い没入感を提示可能なシステムを実現する.本稿では,システムの概要とプロトタイプの実装,動作について述べる.

大木 遼太,河越 嵩介,孫 嘉成,鄭 万嘉,嵯峨 智(筑波大)
ボール遊びと連動するスマートフォンアプリケーション『InSphire』の開発 (277)
(B25) ボール遊びと連動するスマートフォンアプリケーション『InSphire』の開発

近年、ボールにデジタルテクノロジーを組み込む研究が活発に行われている.しかしそれらは場所や機材に縛られることが多く,またユーザーの個性を反映させたインタラクティブコンテンツにおいてはあまり研究がなされていない.そこで本研究では,スマートフォンアプリケーション「InSphire」を提案する.本システムは,Twitterから取得したツイート内容によってボールから再生するサウンドを決定し,ボールの動きに合わせてサウンドを再生するインタラクティブアプリケーションである.本研究によって,ボール遊びとスマートフォンのアプリケーションを連動させ,単純なボール遊びの中に,Tweetの個性を反映させたサウンドで楽しむエンターテインメントを構築する.

田口 裕美,児玉 幸子(電通大)
視線方向に応じた情報通知のためのBluetoothビーコンを利用した身体向き推定機構の実現 (254)
(B26) 視線方向に応じた情報通知のためのBluetoothビーコンを利用した身体向き推定機構の実現

本研究では,デジタルサイネージなどのディスプレイ端末付近にいるユーザの向きに応じて,サイネージに表示するコンテンツの内容を変えるシステムを試作した.ユーザの向きを推定するために,Bluetoothビーコンの受信信号強度を用いる.デジタルサイネージ付近に複数台のビーコン送信機を設置し,ユーザにビーコン受信機を携帯させて,受信機で検出したビーコンの受信信号強度により向き推定を行う.ユーザは,人体の向いている方にビーコン受信機を携帯し,人体をビーコンの電波の遮蔽物として扱う.ユーザの向いている方向から送信されたビーコンの受信信号強度は,反対の方向から送信されたビーコンよりも強い.これによりユーザの向きの推定を行った.

丹羽 佑輔,白松 俊,大囿 忠親,新谷 虎松(名工大)
スクロールとスライド操作による携帯端末向け個人認証 (274)
(B27) スクロールとスライド操作による携帯端末向け個人認証

本研究では,携帯電話向けの画像認証の改良について報告する.画像を用いた個人認証は知識照合型個人認証の問題点である記憶負担を軽減しうる手法として提案されているが,その効果が最大限得られる手法においては安全性が不十分になる傾向があるという指摘がある.これに対して本論文では,4つの工夫を適用することにより,その安全性を向上させるとともに,その改善にともなう記憶負担や操作負担の増加を最小限に抑制しうる案を考案した.このアイデアを基にした改良版画像認証をプロトタイプとして実装したので,本論文で紹介するとともに,4つの工夫がどのようにして安全性の向上と副作用として発生しうる記憶負担および操作負担の増加を抑制しうるかについて議論する.

森 康洋,高田 哲司(電通大)
階層を有する企業間取引ネットワークのビジュアライゼーション (255)
(B28) 階層を有する企業間取引ネットワークのビジュアライゼーション

本研究の目的は,サプライチェーンにおける階層間のつながりの把握の促進である.筆者らは,企業間取引のビッグデータを用いて,階層ごとの取引を可視化した.階層ネットワークの可視化には,ノード間の位置関係を表現するための二次元以上の座標が必要となる.そこで,企業の位置とつながりを,取引の階層ごとに積層させる手法を提案する.この手法を用いることにより,異なる階層をまたぐ地域間のつながりの把握の促進が期待される.

有本 昂平(首都大/帝国データバンク),渡邉 英徳(首都大)
1つのスイッチ入力で操作できるWii用コントローラの試作 (219)
(B29) 1つのスイッチ入力で操作できるWii用コントローラの試作

ゲーム専用機のコントローラは,一般に多数のスイッチが実装されており,手の不自由な人は使いにくいものである.特に,身体の自由がきかない重度障害者にとってはゲームを楽しむことは極めて難しい.そこで,本研究では,1つのスイッチ入力のみでゲーム樹を操作できるコントローラを試作した.意思伝達装置などで利用されるスキャン方式をにより,1つの外部スイッチ入力によって,希望するゲームスイッチを押下できるようにしたものである.これにより,ALSやSMA等の重度障害者でも市販のゲームが楽しめるようになった.

伊藤 史人,岡部 星樹,縄手 雅彦(島根大),菊田 諭(スリランカ教育省)
協調関係の構築を支援する和音の協和性を可視化した透明スクリーンの制作 (078)
(B30) 協調関係の構築を支援する和音の協和性を可視化した透明スクリーンの制作

本研究では他者と協調関係を視覚と聴覚により再構築するインターフェースを提案する.ここで言う協調関係とは,お互いが相手の行動を意識しながら自分の行動を決定している状態を指す.深度カメラの利用によってタッチ位置を測定できる透過スクリーンを利用し,対面状態の2人のユーザが重ねた音の和音の協和性をリサージュ曲線によって可視化する.

伊藤 清里奈,串山 久美子,馬場 哲晃(首都大)
実空間と仮想空間を移動する擬人化エージェントを用いた複合機の機能説明 (238)
(B31★) 実空間と仮想空間を移動する擬人化エージェントを用いた複合機の機能説明

いくつかの機能をあわせ持つ複合機を使用する際,ユーザは実空間上の操作と仮想空間上の操作を関連させながら理解しなければいけない.本研究では、実空間と仮想空間をひとつの空間としてユーザに感じさせるBlended Reality手法を用いて,実空間と仮想空間を自由に行き来して複合機の機能を説明する擬人化エージェントを作成した.エージェントがディスプレイ内に表示されている際は目,腕デバイスを収納して隠し,実世界空間へエージェントが移動する際はディスプレイから目,腕デバイスが飛び出す.この演出によってBlended Realityを用いたエージェントによる機能説明を実現している.これによりユーザは,MFP操作に要求される実空間上と仮想空間上の操作法を理解する.

栢野 航,大澤 博隆(筑波大),遠藤 航(京セラドキュメントソリューションズ/北陸先端大),丹波 正登,守谷 友里,結城 明,長野 正(京セラドキュメントソリューションズ)
ストレス計測のための鼻部皮膚温度計測デバイス (170)
(B32★) ストレス計測のための鼻部皮膚温度計測デバイス

日常生活におけるストレスは自身では気づきにくいにも関わらず健康被害をもたらす.ストレスの要因が分かればその要因に対する対策を講じることができるので,ストレスを生体情報から自動的に検出することは健康管理における有力なツールとなる.ストレス評価は一般に脈波,脳活動,呼吸などの生理指標を用いて行われるが,計測装置が高額で,操作に専門知識を要するため,日常生活で使用することは難しい.そこで本研究では,鼻部皮膚温度がストレスによって低下する性質を利用してストレス計測が可能となるプロトタイプデバイスを作成した.センサをメガネに搭載できるアタッチメントを作成したので,メガネをかけるだけで提案デバイスを利用可能である.さらに,計測されたデータを基にストレスを感じた時間を算出することで,日常生活においてどの場面でストレスを感じたのかを把握するシステムを目指す.

安福 寛貴(神戸大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
StackBlock: 積み重ね形状認識可能なブロック型UI (001)
(B33) StackBlock: 積み重ね形状認識可能なブロック型UI

本研究では,柔軟なブロックの積み重ねを認識する新たなブロック型UI“StackBlock”を提案する.ユーザは積み木のように任意の位置や角度でブロックを積み重ねることにより,3次元形状を構築することができる.StackBlockの各表面には赤外線LEDとフォトトランジスタをマトリクス状に敷き詰めており,ブロックを積み重ねると,向かい合う赤外線LEDとフォトトランジスタから接触領域を認識し,また,同様の赤外線LEDとフォトトランジスタを用いて,ブロック間で接触情報を赤外線通信する.このブロック間での赤外線通信のリレーにより全ての接触情報を一番底に配置されたブロックに集約し,ホストPCに送信する.ホストPCは接触情報から構築形状を認識し画面上に再現する.我々はStackBlockのプロトタイプを実装し,精度や形状認識の速度の評価を行い,柔軟な積み重ねを用いた3次元形状認識が実現できていることを確認した.

安藤 正宏,伊藤 雄一(阪大),細井 俊輝,高嶋 和毅,北村 喜文(東北大)
SenseChairによる会話者間の同調傾向検出 (028)
(B34) SenseChairによる会話者間の同調傾向検出

我々は,ユーザの状態や状況を,ユーザに意識させることなくセンシングするために,座面下に4つの圧力センサを備え,非装着・非侵襲に座面の重心位置と重量を取得できる椅子型デバイスSenseChairを実装し,検討を進めている.本稿では,SenseChairを複数台用いて,着座しながら会話をしている会話者の身体的な同調傾向を検出する手法について検討する.SenseChairによって得られた会話者それぞれの時系列重心・重量データに窓関数を用いて周波数解析し,各データにおける周波数成分の時間変化を求め,話者一人分の揺動の周波数成分の時間変化を抽出する.さらに,会話者全員が揺動している部分のみ抜き出すことで,会話時間における同調傾向値を抽出した.実際の会話場面を設定し,議論後に行ったアンケート調査の結果と同調傾向の関連を検討した結果,同調傾向が大きいほど,「場が盛り上がった」,「課題に夢中になった」と報告されていることが明らかになった.これにより,会話者の着座時揺動による同調傾向の検出が可能であることが示唆された.

宮崎 陽平,伊藤 雄一(阪大),藤原 健(大阪経済大),高嶋 和毅(東北大),尾上 孝雄(阪大)
フラットデザインを用いたWebサイトのユーザビリティ向上 (181)
(B35) フラットデザインを用いたWebサイトのユーザビリティ向上

本研究の目的は,広く利用されているフラットデザインの問題点を明らかにし,ピクセル立体がフラットデザインのユーザビリティを改善するかどうか検証することである.まず,フラットデザインの問題点やWebサイトの使いやすさの判断基準を評価グリッド法で明らかにし,その意見から,フラットデザインにシグニファイアを付加したピクセル立体を改善案として採用した.次に,フラットデザインとピクセル立体のWebサイトで被験者にタスクを課す実験を3週連続で実施した.実験の結果,タスク所要時間には有意な差はなかった.SD法の結果は,ピクセル立体の方がフラットデザインより良い印象を与えていた.この結果から,ピクセル立体はフラットデザインを用いたWebサイトのユーザビリティを改善することがわかった.

四十谷 智美,平川 優子(東京女子大),安村 通晃(慶大),渡辺 隆行(東京女子大)
ゲームニクス理論に基づく健康的な生活を促進するための仮想ペットアプリケーションの提案 (249)
(B36) ゲームニクス理論に基づく健康的な生活を促進するための仮想ペットアプリケーションの提案

本稿では,生活リズムの改善を目的とした,仮想ペットアプリケーションを提案する.はじめに,入力されたユーザの日常生活の情報を仮想ペットに反映させる方法について述べる.具体的には,起床,食事,就寝の時刻の良し悪しによって仮想ペットの育成状態が変化する機能を導入する.次に,ゲームニクス理論に基づくユーザインタフェース設計について述べる.これらの組み合わせにより,使いやすくかつ飽きにくくなる効果が期待できる.最後に,試作したアプリケーションの実行結果について述べる.

市川 真菜,塙 大(名古屋市立大)
HackathonMediator: 作業進捗共有と成果物イメージ共有によるグループハッカソン協調活動支援システム (149)
(B37) HackathonMediator: 作業進捗共有と成果物イメージ共有によるグループハッカソン協調活動支援システム

近年,革新的な成果物を生み出す新たな取り組みとして,ハッカソン(Hackathon:Hack-a-thon)が注目されている.本研究では,ハッカソンチームにおける協調活動の問題を解決するために,「作業進捗共有を兼ねた画面共有機能」,「成果物イメージ共有を兼ねたモックアップ生成機能」から構成される支援システム「HackathonMediator」を提案する.「作業進捗共有を兼ねた画面共有機能」をハッカソンに導入した結果,発言量の少ないチームメイトにコミュニケーションの機会をもたらすなどの効用を確認した.

西 康太郎,西本 一志(北陸先端大)
即時性を持つ自由参加型コンテンツの提案 (263)
(B38) 即時性を持つ自由参加型コンテンツの提案

オープンスペースで行われる参加者一体型のイベントにおいては,その場にいるイベント参加者同士がより高い一体感を得られることが極めて重要である.本稿では,参加者のスマートフォンをプログラムの入出力にする「大きなキーボード」というイベント用アプリケーションの開発を行い,実際にイベントの場でアプリケーションを稼働させ,得られたデータから一体感とイベントへの満足感を具体的にし,イベントにおける一体感の重要性を示し,一体感生成のための体系基盤を提示する.

佐々木 匠太(東京工科大),中野 亜希人(慶大),羽田 久一(東京工科大)
BORNINGEN: 企画提案を支援する手書き棒人間認識システム (174)
(B39) BORNINGEN: 企画提案を支援する手書き棒人間認識システム

企画提案の場において,人物やキャラクタを棒人間で簡単にスケッチしたものを,企画書やスライドにそのまま流用することは表現性に欠け,正しい意図伝達ができないこともある.安らの研究[1]のように棒人間のポーズによって同じポーズの画像を検索することができれば資料作成の効率化に役立つが,特徴抽出が十分に可能となるポーズ画像の制約が大きい.本稿では,ポーズ画像にあらかじめ棒人間のメタデータを対応させ,オフラインで描かれた手書き棒人間とテンプレートマッチングを行う検索手法を提案する.この手法ではメタデータ対応の手間がかかるが,デフォルメキャラクタや特徴抽出に適さないポーズ画像,棒人間から複数のポーズ解釈が考えられる場合など,多様な表現要求に柔軟に対応できる.

角谷 亮祐,馬場 哲晃,串山 久美子,菊竹 雪(首都大)
アドバンスド摩訶大将棋の対局 (260)
(B40) アドバンスド摩訶大将棋の対局

摩訶大将棋は,初期の中世日本で考案されたと思われる大型将棋である.現代将棋と比べて駒数が多く,盤面が広大なため,入門者には非常にむずかしい将棋だという印象を与えてしまう.事実,これまでの通説では,摩訶大将棋は対局されたことはないであろうと思われていたが,実際は全くそうではなく,対局すれば十分に面白い将棋であることがわかっている.摩訶大将棋の対局に際して,コンピュータによる支援機能を用意したものがアドバンスド摩訶大将棋である.これにより,初心者は気軽に摩訶大将棋を楽しむことができるようになった.発表では,摩訶大将棋のルールと歴史を解説した上で,水平に置かれたタッチディスプレイを将棋盤として使用して,実際にアドバンスド摩訶大将棋の対局を体験していただく.

豊田 健多,谷口 文隆,田村 一樹,高見 友幸(大阪電通大)
Catching Laughter: 笑顔認識による笑い声収集・共有システム (231)
(B41) Catching Laughter: 笑顔認識による笑い声収集・共有システム

ウィリアム・ジェイムズが「人は幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せなのだ」と述べたように、笑いは我々を幸せにしてきた。周りで誰かが笑っていると、それを見た人々も引きこまれて笑うことがある。本研究は、人々の笑い声を集め、その声を共有することによって、笑いによる幸せを作り出すことを目的とする。我々は、カメラを用いて笑顔を認識し、そのときの声を録音することによって自動的に笑い声を収集するシステム「Catching Laughter」を開発した。本稿ではシステム構成と、今後の展開について議論する。

松村 耕平,矢野 圭太,野間 春生(立命館大)
画像合成での擬似的なシャッタースピード効果によるペンライトアート撮影アプリケーション "ChemicalWrite" の提案 (230)
(B42) 画像合成での擬似的なシャッタースピード効果によるペンライトアート撮影アプリケーション "ChemicalWrite" の提案

空に光で絵を描いたようなペンライトアート写真を撮るには,機材の制約,及び時間と場所の制約をクリアしなければならず,手軽に撮影できるとは言えない.そこで画像合成による擬似的なシャッタースピード効果によって手軽にペンライトアート写真が撮影できるアプリケーションである"ChemicalWrite"を提案する.その後,この手法を実装したアプリケーションを開発し,それを動作させた結果および考察と展望を述べる.

井上 洋希,池田 裕己,高田 将吾,田中 菜々子,日高 詩織,串山 久美子(首都大)
教育実習における授業参観者の授業中の気づきを記録・閲覧するシステムの試行 (179)
(B43) 教育実習における授業参観者の授業中の気づきを記録・閲覧するシステムの試行

現在の教育実習における授業の反省会では,授業者にとって有用である授業参観者の気づきが授業者に伝わらないままになってしまっているものが多く,授業の細かい部分まで振り返ることができていないという問題点がある.そこで本研究は,授業参観者の授業中の気づきが授業者に伝わることの支援を目的とする.そのために,授業中にiPadを用いて授業参観者の気づきを短文の手書きコメントと写真によって記録し,授業後,記録された気づきを授業映像と同期した形で,iPad上で閲覧できるシステムを開発し,試行を複数回行った.試行の結果からシステムに関する知見として,システムが気づきの記録と1人での振り返りに有用である可能性などが得られた.

今野 翔太郎,加藤 直樹,櫨山 淳雄(東京学芸大)
LEGOrics: 外観を保ちつつ電気的に拡張したLEGOブロックの提案 (201)
(B44★) LEGOrics: 外観を保ちつつ電気的に拡張したLEGOブロックの提案

近年,ブロック状のモジュールを組み合わせてインタラクティブに動作するシステムが数多く提案されている.しかし,これらの多くはブロックの形状が特殊だったり,電気的な配線を外部に取り回したりすることが多く,ブロックとしては扱いにくく,美観も損ねてしまうことが多かった.本研究では古典的なLEGOブロックに着目し,その同じ形状・外観を保ちつつ,インタラクティブに動作する新しい電子ブロック「LEGOrics」を提案する.

熊谷 明音,沖 真帆,塚田 浩二(はこだて未来大)
複数の生体情報を用いた感情同定手法に基づくMMDモデルを用いたセルフフィードバックインタフェースの提案 (123)
(B45) 複数の生体情報を用いた感情同定手法に基づくMMDモデルを用いたセルフフィードバックインタフェースの提案

本研究では,脳波と脈拍の2つの生体情報を用いて,人間の感情を二次元平面に表したラッセルの円環モデルをもとに感情同定を行い,同定した感情を表現する新しい媒体としてMMD(MikuMikuDance)を用いたセルフフィードバックインタフェースの提案を行う.MMDは3DCGムービー製作ツールであり,キャラクタの表情だけでなく動作も操作できるため,MMDを用いて感情表現を行うことにより,ユーザは自身の感情変化を直感的に理解できることが期待できる.

坂松 春香,鎌田 恵介,佐々木 槙吾,佐藤 友斗,高橋 啓伸,小倉 加奈代,ビスタ ベッド,高田 豊雄(岩手県立大)
自律移動型インタラクティブデジタルテーブルの設計と評価 (004)
(B46) 自律移動型インタラクティブデジタルテーブルの設計と評価

我々は現在主流となっている一般的な固定された環境を,ユーザにとってより良いものへと変化させるために,作業内容やユーザの希望に適応可能な自律移動型インタラクティブテーブルを実装した.テーブルの移動中は利用中のコンテンツを変形させアニメーションを生成してユーザに対する移動の手がかりを出す.本研究では,自律移動型デジタルテーブルの動きがユーザによってどのように認識されるか,そして複数のテーブルが同時に動いたときにユーザの協調作業に与える影響について実験を行った.実験の結果,アニメーションを利用することによってユーザに対する移動の合図を行うことができたこと,そしてテーブルの移動はユーザの空間行動活発にさせることが確認できた.

浅利 勇佑,坂本 登,高嶋 和毅(東北大),横山 ひとみ(東京農工大),エフド シャーリン(UCalgary),北村 喜文(東北大)
物体へのオノマトペ重畳環境におけるユーザの動作の分析 (192)
(B47) 物体へのオノマトペ重畳環境におけるユーザの動作の分析

本研究では,実物体に対してオノマトペを用いて心理的にその表現力を拡張することを試みる.我々は以前にオノマトペを実物体に重畳表示ができるオノマトペ提示システムを開発した.そのシステムを用いてユーザスタディを行い,オノマトペ提示による行動への影響を調査した.

坂田 陵,松村 耕平,Roberto Lopez-Gulliver,野間 春生(立命館大)
環境音を利用した情報認知に関する研究 (198)
(B48) 環境音を利用した情報認知に関する研究

従来のPC等の効果音による情報伝達は,主に報知音や警報音としてイベント発生時などに積極的にユーザーに知らせることを目的としたものであった.本研究では,空間環境に溶け込み他者に影響を与えないレベルで存在する音響に情報を組み込んでおく.そして事前に学習したユーザーを対象にしておくことで,他者の作業に影響することなく,必要とした人のみが必要とする時に情報を取得出来るようにするための研究である.本研究では,このシステムを実現させるための基礎的な検証実験を行い,環境音の設計指針について提示する.

飛田 和子,崎原 諒(湘南工科大),常盤 拓司(アライアンス・ポート),本多 博彦(湘南工科大)
移動データを基に変形した地図による生活時空間の認知 (151)
(B49) 移動データを基に変形した地図による生活時空間の認知

本稿では,人の滞在時間や移動時間に基づいて変形した地図「行動マップ」を生成するシステムを提案する.そのために,様々な移動手段,人,時間帯,季節のデータが含まれた長期間の移動データを収集した.行動マップでは,人々の生活の中での滞在時間や移動時間を基準に変形することで,生活空間だけではなく,時間感覚も含めた「生活時空間」を可視化した.提案手法の具体的な実装として,行動マップ生成システムを試作する.この試作システムを用いた予備検討として,ユーザや季節による行動マップの比較を行う.さらに,行動マップを他人と見せ合い議論を行い,新たな気付きが得られるか調査を行う.また,行動マップと手描き地図との比較を行い,その差異による気付きの調査を行う.

横井 逸人,角 康之(はこだて未来大),松村 耕平(立命館大)
P2P通信を用いた疑問共有システム「ギモン君」の開発 (162)
(B50) P2P通信を用いた疑問共有システム「ギモン君」の開発

本稿では,授業内におけるPeer to Peer通信(P2P通信)を用いた疑問共有システム「ギモン君」を提案する.ギモン君は授業中に学生が教師への質問を躊躇してしまうことを解消することが目的である.疑問君を用いる事により,学生同士が匿名で授業内容に対する疑問を共有し,その疑問に対して他学生が賛同を表明できる.自分の疑問にたくさんの同意が集まることによって,学生は自分の疑問に自信を持ち,教師に堂々と質問できる.

森 琢郎,保立 純志,松宮 康二,坂野 加奈(立命館大)
手軽な服作りを可能にする型紙作成ツール (165)
(B51) 手軽な服作りを可能にする型紙作成ツール

本研究では,服の型紙の作図及び補正をコンピュータ上で行うことでホームソーイングにおける型紙作成の難易度を軽減し,手軽な服作りを可能にするツールを提案する.型紙を直接加工するのではなく,服の3Dモデルの操作により型紙を補正することで,完成形のイメージを確認しながら思いどおりの服の型紙を作成することを実現する.本ツールにより,洋裁初心者でも着用者の身体に合う服,欲しいデザインの服を手軽に作ることが可能になる.

佐藤 玲奈,鈴木 優(宮城大)
ヘッドマウントディスプレイを用いた視覚変化体験システム (172)
(B52★) ヘッドマウントディスプレイを用いた視覚変化体験システム

本論文では視力や身長のパラメータをモデル化し,仮想空間上で体感できるシステムについて述べる.人間の視覚は視力や身長,年齢などによって左右される,視力や身長は人間が度合いを決定するために定義したものであり,数値として表すことができる.しかし,視覚は知覚情報のため,感覚的に理解するものであり,数字からは窺い知ることはできない.本稿では視力や身長のパラメータを知覚情報に反映し,ヘッドマウントディスプレイを用いることで体験することができるシステムを構築方法について述べる.

芝田 圭佑,濱川 礼(中京大)
柔軟触覚センサを搭載したモデルベース動物画像可触化システム (203)
(B53★) 柔軟触覚センサを搭載したモデルベース動物画像可触化システム

我々は,動物画像を鑑賞するユーザの触覚的な欲求を満足させるため,画像と動物の3Dモデルを組み合わせた可触化システムを提案してきた.その際,評価実験の被験者からは,皮膚の「やわらかさ」や「毛並み」を表現する要素に関する要望が多く寄せられた.そこで本稿では,力覚提示装置に柔軟触覚センサを組み合わせることにより,「やわらかさ」や「毛並み」を感じながら,指で撫でるようにして触ることができるシステムを提案した.

大久保 貴博,季 雨農,小林 剛,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
スマートフォンにおける操作指とは異なる指への触覚提示 (224)
(B54★) スマートフォンにおける操作指とは異なる指への触覚提示

タッチパネルにおける触覚提示を実現した従来の提案手法の多くは,画面に触れる指(操作指)を提示対象としていた.そのため画面の視界を遮らない触覚提示手段が必要であり,そうした提示手段で高密度に触覚を呈示することは困難であった.一方,タッチパネル裏面であれば視界の問題から解放されるため高密度な触覚提示が可能となる.先行研究でも裏面全体に触覚提示する手法の提案がみられるが,裏面全体への高密度触覚提示はコストが高い.そこで本研究ではデバイスを支える指だけに,操作指周辺の画面情報を触覚的に提示する手法を提案する.今回は触覚提示指と操作指が同じ手の指である場合と異なる手の指である場合の触知覚能力の違いについて検証した.

Khurelbaatar Sugarragchaa,中井 優理子(電通大),梶本 裕之(電通大/JST)
テキスト全体の移動によりキャレットの相対位置を変化させるポインティング手法の提案 (225)
(B55★) テキスト全体の移動によりキャレットの相対位置を変化させるポインティング手法の提案

タッチデバイスにおいて指定したい場所が指に隠れて見えず正確な位置を指定できない、いわゆるFat finger problemは古くから指摘されている。この問題は、要求するポインティングの精度と指の太さの比率に依存するため、スマートフォンやスマートウオッチなどといった小型のデバイスにおいて顕著に表れる。小型デバイスでも、十分に大きな領域を指定するようUIを工夫すれば回避可能であるが、テキスト編集におけるキャレットの移動というタスクでは文字を大きくすることは一覧性の低下に直結するため回避できない。そこで、本稿では、キャレットの移動を指のタッチによって直接指定する既存の方法に代えて、キャレットを除くテキスト全体を移動させることでテキスト中のキャレットの相対位置を決定するインタフェースを提案する。この方法では、移動させたい場所はずっと見えているため、ファットフィンガー問題は発生しないという利点があり、早く正確な位置指定が期待できる。

鈴木 健司,岡部 和昌,坂本 竜基(ヤフー),坂本 大介(東大)
足触りの表現を促すデバイスにより構成的に感性を育む実験 (246)
(B56★) 足触りの表現を促すデバイスにより構成的に感性を育む実験

本論文は,足触りという曖昧模糊とした知覚を創作オノマトペで表現する行為を促すツールを開発し,それを定期的に使って様々な地面を歩くという実験を通じて,足触りの感性を育む(知覚分解能を高める)ことを目指す構成的認知実験の成果を報告するものである.

諏訪 正樹,筧 康明,西原 由実(慶大)
脳波を用いたスマートフォンのアプリ自動制御方式 (160)
(B57) 脳波を用いたスマートフォンのアプリ自動制御方式

近年,脳波を扱った研究として,障害者支援のための研究が注目を集めている.これらの研究では,脳の表面に脳波電極を留置する非侵襲的な計測,ヘッドギアやMRIを用いた計測が行われている.これらの計測方法は,高密度で高精度な脳波取得が可能であるが,高価で拘束性が高い.一方,スマートフォン等の情報機器が普及しているが,画面に注力し操作する,いわゆる「ながらスマホ」による事故が問題視されている.そこで本研究では,拘束性の低い簡易脳波計測器を用いて,脳波を取得分析することで,画面に注力することなく,スマートフォンのアプリケーションをユーザの意図に応じて制御可能とする情報制御システムの構築を目指す.本論文では,簡易脳波計測機器とスマートフォンを用いることで,ユーザの意図に基づいてアプリケーションを自動制御するための方式を提案し,意図を脳波から抽出する手法を様々な状況での精度を検証する.

日高 智貴,王 元元,河合 由起子,奥田 次郎(京産大)
“光と影”を用いたアンビエントメディアとしてのLED間接照明プロダクト (211)
(B58) “光と影”を用いたアンビエントメディアとしてのLED間接照明プロダクト

我々は,インタラクティブメディアの技術を建築分野に応用するIMSSプロジェクトの実践を通じ,プロトタイプ制作を重ねている. IMSSプロジェクトとは,デジタル技術を空間に取り込むことによって既存の空間設計とは異なる新たな可能性を研究することを目的に始めたものである.そして,さらにその技術をモジュール機構として統一しシステム化することで,より容易に空間にインタラクティブメディアの応用が可能であると考えている.本研究では,これまでのモジュール機構を用いた対話的な間接照明プロダクトに着眼した.モジュール機構および光と影を適切に用いることで,従来の間接照明にアンビエントメディアとしての機能を包含させ,さらにはユーザーが自由に形状,振る舞いをデザイン可能な間接照明システムを開発する.

飯島 好美,馬場 哲晃,串山 久美子(首都大)
Minskyの感情思考モデルに基づく認知症の人の感情ひも解きコンテンツの開発 (214)
(B59) Minskyの感情思考モデルに基づく認知症の人の感情ひも解きコンテンツの開発

筆者らは,介護者の認知症の人の心的状況の理解を支援する目的で,感情思考モデルを用いたコンテンツの開発を進めている.感情思考モデルで表すことにより認知症の人の感情が理解しやすくなるという有効性や課題を検討したうえで,介護者が認知症の人の思考について考え学べるコンテンツ開発の可能性を示唆した.

古屋 美季,エーニン プインアウン,神谷 直輝,石川 翔吾,竹林 洋一(静岡大)
プログラミング学習支援のためのビジュアル言語デバイスの開発 (216)
(B60) プログラミング学習支援のためのビジュアル言語デバイスの開発

プログラミングの苦手なデザイナーに向け、プログラミングの理解を支援する方法を探る研究である。変数と条件文の2つのプログラムの基本要素の理解を目標とした。まず最初にデザイナーとデザイナーを志す学生に調査を実施した。調査から、プログラミングの要素を実際のブロックに置き換えたデバイスを開発し用いることとした。ブロックを並べ接続すると、ビジュアルな物理的要素と実際のプログラミング言語の間の関係をディスプレイ上に表示することができる。

Campana Rojas Jose Maria,小林 孝浩,平林 真実,鈴木 宣也(IAMAS)
語のイメージを指標とした言語表現の推薦 (196)
(B61) 語のイメージを指標とした言語表現の推薦

概要:近年のインターネットの発達で、一般人でも容易に情報を発信することができるようになった。それによって多くの人が掲示板やブログなどで自主的に文字媒体による情報発信を行っている。本論文はその中でも小説の執筆に焦点をあてる。執筆の際に、伝えたい語のイメージが存在するがそれに適した言葉が浮かばず困っている小説執筆者に対し、言葉のイメージを手がかりとして一連の質問を行うことで、適切な言語表現を逆引きし推薦する手法を提案する。

田渕 健太,松村 耕平,山西 良典,野間 春生(立命館大)
ヒューマノイドロボットの歩行動作による感情表現 (227)
(B62) ヒューマノイドロボットの歩行動作による感情表現

人間同士のコミュニケーションを円滑に行う際に,他者の感情を予測することは重要である.ロボットが人間と同じ環境下において役割を担うとき,ロボットの感情表現を行う能力は人間とのコミュニケーションをより円滑にする.この感情表現についての研究では会話や表情,簡単なジェスチャーによるものが主である.しかし,様々な場面での感情表現を可能にするために別の手段による表現方法が必要である.本研究では,人間が他者の歩行動作から感情を予測していることに注目し,ヒューマノイドロボットの歩行動作による感情表現の有効性を検討した.ヒューマノイドロボットの感情的な歩行動作を5種類生成した.被験者はそれを観察し,どのようなロボットの感情を予測したかをアンケートによって回答した.本実験は日本とフランスで行い,文化的な違いについても調査した.その結果,ヒューマノイドロボットの歩行動作によって感情を表現することは可能であること,感情予測に文化的な違いがあることが分かった.

伊豆井 尊宗,ベンチャー ジェンチャン(東京農工大),ミルビーユ イザベル(IRCCyN)
アパレルショップを事例としたコミュニケーションスキル学習支援システムの構築 (147)
(B63) アパレルショップを事例としたコミュニケーションスキル学習支援システムの構築

人と対面して話すコミュニケーションスキルを向上させるには,相手の発話内容を理解するだけでなく,相手の表情や振る舞いを認識し,そこから相手の意図を推測し,それに適合する応答を選択し,発話するスキルを向上させる必要がある.これはあらかじめ相手役を用意して練習することで学習することが出来る.しかし相手役を伴わない練習においてはそのスキルを取得することが難しい.そこで本研究では一人でコミュニケーションの練習が出来るシステムの環境を構築することを目的とした.PCの仮想空間上に相手を用意し,その相手とコミュニケーションを繰り返しとることで,コミュニケーションスキルを向上させることを目指している.

大櫃 梨衣,曽我 真人,瀧 寛和(和歌山大)
ケアゴールに基づく認知症ケア技法の比較評価の検討 (235)
(B64) ケアゴールに基づく認知症ケア技法の比較評価の検討

ケアゴールを比較する映像分析ツールを用いて,環境に依らない認知症ケア全体に有効な思考プロセスがあることを表現し比較評価する手法の検討を行った.認知症の人に対するケアで,ケアが円滑に進む事例と進まない事例がある.筆者らは現場での実体験により,円滑にケアを進める現場では共通した理念があることを経験的に得た.ケアゴールでケア提供者の思考を表現することで,理念に基づいてどのようなケアを行っているかを比較評価出来るという知見が得られた.

鈴木 夏也,菊池 拓也,石川 翔吾,竹林 洋一(静岡大)
携帯情報端末背面での穴を用いた操作手法 (232)
(B65) 携帯情報端末背面での穴を用いた操作手法

既存のタッチ操作を代替もしくは拡張するために,携帯情報端末背面での操作手法が研究されてきた.我々は,背面の穴を片手人差し指を用いて塞ぐ操作と,表面のタッチスクリーンを片手親指を用いてタッチする操作を組み合わせた操作手法を示す.この操作手法を実現するプロトタイプとして,端末背面に複数の穴を設けたハードウェアを作成した.本稿では,プロトタイプとそのアプリケーションを示す.

深津 佳智,箱田 博之,志築 文太郎,田中 二郎(筑波大)
LiveSurface センサ情報を利用したインタラクティブな質感表現手法 (240)
(B66) LiveSurface センサ情報を利用したインタラクティブな質感表現手法

本研究ではスマートフォンやタブレット端末において,加速度センサ,照度センサ,カメラなどのセンサ情報を利用したインタラクティブな質感表現手法LiveSurfaceを提案する.LiveSurfaceは手に持ったスマートフォンのテクスチャがキラキラ,ピカピカ,ざらざらしているような表現を手の動きに応じて実現する.これにより,現実世界のプロダクトを手に持って得られるような表面反射をコンピュータ・グラフィック上でも実現することができる.そのため,手に持って利用するデバイスやウェアラブルデバイスのデザインやUIへの広い応用が期待できる.本論文ではその試作からシステムについて考察し今後の課題について議論する.

小渕 豊,渡邊 恵太(明治大)
脳波を用いた車いすロボット制御システム (189)
(B67) 脳波を用いた車いすロボット制御システム

近年,人の脳活動を読み取る研究の発展は目覚ましい.脳活動を読み取るには脳波(EEG)や機能的磁気共鳴画像法(fMRI)など,いくつかの方法が存在する.非侵襲的なEEGにおいては,リアルタイムで利用者の思考や感情,表情の検出や脳波の生データへ容易にアクセスできる製品が世の中に出ている.そこで,既存の基礎研究に基づいて,福祉分野における人の脳活動の活用を現実世界で適用させることを目的とし,利用者が初めて訪れる施設であっても脳波から利用者の意図を読み取り,容易に目的地まで辿り着くシステムを実現する.

鷹箸 孝典,阿部 拓真,中沢 実(金沢工大)
抑揚を入力としたキャラクタの動作生成パラメータの最適化手法 (190)
(B68) 抑揚を入力としたキャラクタの動作生成パラメータの最適化手法

キャラクタの動作デザインにおいて制作者がはじめから表現意図に適う具体的な動作をイメージできるとは限らない.そこで,同様に表現意図に適う演技を追求する演劇の演技指導に着目した.演出家は演出意図を演技例ではなく声の抑揚を用いて指示する場合がある.本研究では抑揚という,動作を連想させる入力方法を用いて,キャラクタの動作生成パラメータを具体的な動作例の指示を必要とせずに調整できる手法を実現する.具体的には,はじめに制作者の意図する動作の曖昧なイメージを抑揚としてマイクに入力する.次に,その抑揚の時系列データと運動モデルとの差分の2乗和を評価関数として最小化問題を解くことで動作生成パラメータの最適化を行う.これらの手順を繰り返し行うことで,最終的に制作者の意図する動作を行うキャラクタに近づける.

藤永 慎悟,長谷川 晶一,三武 裕玄(東工大)
複数大画面に対する絶対及び相対座標指定に基づくジェスチャ入力手法 (154)
(B69) 複数大画面に対する絶対及び相対座標指定に基づくジェスチャ入力手法

本稿では周囲を取り囲むように配置されたディスプレイに対して,そこに表示されたコンテンツを素早く,正確に操作がするジェスチャ入力手法を提案する.近年,ディスプレイ技術の発達によって,複数の大型ディスプレイを安価に配置できるようになったことで,より多くの情報を同時に提供できるようになった.その一方でディスプレイ領域を物理的に拡張し,室内空間を取り囲む様にディスプレイを配置した環境下では,ユーザの視界に限定されるため従来のポインティング手法では,カーソルが見つからないなどの問題が生じ,操作性が著しく低下する.本稿ではそのような問題を解決するため,絶対及び相対座指定に基づくジェスチャ入力手法の設計指針を提案し,素早く正確なカーソル操作が可能なインターフェースの実現を目指す.また提案する設計指針に基づき,作成した試作機の動作についても述べる.

福井 辰哉,山本 豪志朗,武富 貴史,Christian Sandor,加藤 博一(奈良先端大)
VR-Street Viewを用いた一人称視点における没入型「思い出」共有システムの提案 (197)
(B70) VR-Street Viewを用いた一人称視点における没入型「思い出」共有システムの提案

本論文では,「思い出」を一人称視点から疑似体験し共有することで,「思い出」を受け取る人間(以後,共有者と表記)と伝える人間(以後,提供者と表記)間のコミュニケーションを促進する事を目的としたシステムを提案する.「思い出」を形に残す一般的な手段である写真は,「思い出」を伝える場面においても頻繁に使用される.例えばGoogleストリートビューに提供者が撮影した写真を結合し,地図に示された写真の広がりを共有することによって共有者へ「思い出」を伝えることも出来るであろう.しかし「思い出」をより強く伝えるには物語を構成して伝えなければならない.写真を共有するだけでは物語を構成することは出来ないからである.そこで時刻の移り変わりによって変化する写真を物語として表現するVR-Street Viewを提案する.VR-Street ViewはGoogleストリートビューを仮想空間に時間軸上に拡張して構築し,「思い出」である写真を結合したViewerである.時間の移り変わりによって変化する提供者が撮影した写真をライフログとして表現し,物語を構築する.また既存のGoogleストリートビューの写真を組み合わせることによって疑似ライフログを表現することも可能になる.更にVR-Street Viewをヘッドマウントディスプレイを通して見ることによって疑似体験することが可能になる.このように,VR-Street Viewを用いることで,提供者の「思い出」をライフログとして表現し疑似体験することで共有者へ「思い出」を伝えることが可能になる.その結果「思い出」を伝えることで提供者と共有者間のコミュニケーションを促進の繋がる.

志津野 之也,濱川 礼(中京大)
機能の付与・変更が可能な衣服型入力装置と布製タッチスイッチの提案 (221)
(B71) 機能の付与・変更が可能な衣服型入力装置と布製タッチスイッチの提案

既存の布を用いた衣服型のウェアラブルデバイスは,ユーザが装着する上でデバイスによる装着感を感じない素材でできているが,付与できる機能が限定され,汎用性に欠けるというデメリットがある.これに対し本研究では,布が持つ柔らかさを保持しつつ,ユーザによって衣服への機能追加や変更が可能なウェアラブルな入力装置を提案する.提案システムは,着脱可能な布製の衣服型端末と,複数の布製タッチスイッチで構成され,衣服型端末にスイッチを貼付することによって機能を付与し,貼付したスイッチに触れることによって,付与した機能のON/OFFの状態を切り替えることができる.これにより,衣服に付与できる機能のバリエーションを増やすことを試みた.

阿部 誠,阪口 紗季,堤 修平,松下 光範(関西大)
神戸ルミナリエにおける光る募金箱の運用 (266)
(B72) 神戸ルミナリエにおける光る募金箱の運用

筆者らの研究室では,神戸ルミナリエにおいて,電子技術を用いた特殊な募金箱を制作・提供するとともに募金活動ボランティアとしても参加するイルミネこうべプロジェクトを行っている.イルミネこうべプロジェクトとは,阪神淡路大震災の犠牲者の鎮魂とまちの復興を願い,開催されている神戸ルミナリエ存続の願いに応えるべく始まった募金箱制作プロジェクトである.制作した募金箱を用いて神戸ルミナリエ会場で募金活動を行い,来場した人がただ募金をするのではなく,楽しみながら募金をする様子を確認した.

上田 健太郎,李 俊穆,奥川 遼,佐久間 一平,下鶴 弘大,安福 寛貴,丁 吉之(神戸大),見明 暢(神戸芸術工科大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
スポットライティング (223)
(B73) スポットライティング

オブジェクトに対する認知を共有するために指差しジェスチャが行われている.本研究では直観的にオブジェクトに焦点を当てることを目的としたスポットライティングを提案する.提案システムは指差しジェスチャによるポインティングシステムと焦点範囲であるフォーカスエリアの操作インタフェースから構成される.フォーカスエリアは手を握った状態で動かすことで移動し,手の平を広げることでフォーカス位置が固定される.また拡大・縮小ボタン上にフォーカスエリアを合わせることによってフォーカスエリアを拡大または縮小し,焦点を絞ることが可能である.

中道 上,渡辺 恵太(福山大),山田 俊哉(NTT-IT)
運動する人体の全周に対するリアルタイムプロジェクションマッピング (166)
(B74★) 運動する人体の全周に対するリアルタイムプロジェクションマッピング

プロジェクションマッピングでは一般に映像の投影を行う対象の形状が既知である必要がある.したがって,不規則な運動をする人体等にプロジェクションマッピングを行うためには,何らかの方法で対象の形状を動的に取得する必要がある.本研究では複数の距離画像センサで人体の全周形状を取得し,それに対してテクスチャをマッピングした映像を投影することによって,不規則な運動をする人体に動的なプロジェクションマッピングを行う手法を開発している.本稿ではセンサ1台,プロジェクタ1台による人体へのプロジェクションマッピングを行った結果について報告する.

森 正樹,床井 浩平(和歌山大)
球体型自走ロボットを用いたダンスパフォーマンスシステムの設計と実装 (178)
(B75★) 球体型自走ロボットを用いたダンスパフォーマンスシステムの設計と実装

近年,ロボティクス技術の進展に伴い,人と踊る様々な移動ロボットが開発されている.移動ロボットを利用してパフォーマの身体表現の幅を広げる試みが見受けられる.しかし,これら移動ロボットを用いたパフォーマンスでは,パフォーマと移動ロボットのインタラクションについて明確にされていない.パフォーマの動作と移動ロボットの動作との表現に関するインタラクションを明確にし,対応付けを定式化することができれば,パフォーマの身体表現に新たな変化を与えることができると考えられる.そこで本研究では,パフォーマの身体動作と球体型自走ロボットの動作との組み合わせによって,身体表現にどのような影響をもたらすか調査するために,パフォーマの動作と球体型自走ロボットの動作の対応を考える仕組みを構築する.具体的には球体型自走ロボットと,光という表現の要素を加えた新たな身体表現を模索できるシステムを提案する.また,提案システムを本番環境での実運用を試み,実運用における問題点を洗い出した.さらに,新しい表現方法について聞き取り調査を基に模索した.

土田 修平(神戸大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)

Interaction 2015