情報処理学会 インタラクション2016

一般的なPCに装備されたトラックパッドで手書きの文字入力やイラスト描画を行うには，スマートフォンやタブレットPCでの入力に比べ操作の正確さと時間を要する．これは前者が，入力面座標が画面座標に１対１対応する絶対座標系による入力であるのに対し，後者は，マウスと同じく指の移動量をポインタの移動量に対応させた相対座標系を基準とした入力方式であることが理由だ．本稿では，トラックパッド入力においてこれら2つの入力方式を直感的に切替えるインターフェースである，カーボンコピーメタファを利用したトラックパッド用対話技法を提案し，実際にGUI環境で利用できるシステムとして実装した．本手法は，トラックパッド入力面に対応し絶対座標入力できる小領域をPC画面上に設定する．カーボンコピーメタファは，この領域を手元にある``カーボン紙片''とみなし，非利き手でカーボン紙片の移動と固定のモードを切り替え，利き手で移動と入力をおこなう手法である．