情報処理学会 インタラクション2020

文献情報

タイトル
VR空間における触れる前インタラクション:対接触前距離の計測とその応用
著者
  • 齊藤 青葉(ATR/同志社大)
  • 木本 充彦(ATR/慶応義塾大学)
  • 飯尾 尊優(ATR/筑波大学/JST さきがけ)
  • 下原 勝憲(ATR/同志社大)
  • 塩見 昌裕(ATR)
アブストラクト
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人は,他者が一定の距離まで近づいてくると反応する.同様に,他者の手が自身に触れようとした場合にも,一定の距離で反応する.このような対人距離・対接触前距離の研究は実空間で進められつつあるが,VR空間においてはいまだ対人距離の研究が取り組まれている段階である.VR空間における対接触前距離の計測は,VR空間上で活動するアバターや自律的に行動するエージェントにおける接触インタラクション,特に触れる前インタラクションへの応用が期待できる.そこで本研究では,まずVR空間において人がエージェントから触れられる際の対接触前距離を計測するためのデータ収集を行った.分析の結果,人々の対接触前距離がNear群(約9㎝),Far群(約25㎝)に分類出来うること,およびその平均が約18㎝であることが明らかになった.次に,得られた対接触前距離情報を用いて,人がエージェントに触れようとする際に,エージェントがどのような対接触前距離で反応することで人に与える印象を変化させうるのかを検証する実験を行った.実験の結果,対接触前距離が近いほどエージェントに対する親しみやすさや,エージェントの自身に対する親しみやすさを強くすることが明らかになった.また,対接触前距離が近い人ほど,対接触前距離が遠い人に比べて,対接触前距離が近いエージェントを好むことも示された.

雑誌名
インタラクション2020論文集
© 情報処理学会 2020
論文ID
INT20019
ページ
170-177
発行日
2020年3月2日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台一丁目5番地 化学会館4F
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