情報処理学会 インタラクション2021

文献情報

タイトル
SwaPS:文書を読むだけで漢字の字形記憶を効率的に修正・強化できる誤字形文字の生成・活用手法
著者
  • 魏 建寧(北陸先端大)
  • 西本 一志(北陸先端大)
  • 高島 健太郎(北陸先端大)
アブストラクト
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近年,日本や中国において,漢字を読むことはできるが書くことができない「漢字健忘」が社会問題になっている.この問題を解決するために,筆者らは漢字字形記憶の損失を防ぐ効果を有する漢字入力方式G-IMシステムをすでに提案し,その有効性を確認している.G-IMは,文字変換時に誤字形文字をランダムに差し込むことで利用者が持つ漢字字形記憶の修正・強化を支援するものである.しかし,ごくわずかに異なっている誤字形文字を発見し修正する作業は負荷が高いため,利用者の利用意欲を削ぐという問題があった.そこで,本論文では,利用者の負荷を増やすことなく,文書を読むだけで漢字の字形記憶を効果的に修正・強化することができるようにする手法SwaPSを提案する.SwaPSでは,漢字全体の80%を占める形声字に着目し,形声字を構成する意符と音符の位置を入れ替えることによる字形変形手法によって誤字形文字(PS字形文字)を生成し,これを文書中に混入させる.PS字形文字を含む文書を読むことで,漢字字形に注意が惹きつけられることにより,漢字字形記憶が修正・強化されることが期待できる.将来的にはPS字形文字を自動生成して提示する電子書籍リーダーの構築を目指しているが,本論文ではその実現に向けた基礎的な調査として,手作業で作成した誤字形文字を紙に印刷してユーザに提示することによるユーザスタディを実施した.その結果,PS字形文字を混入した文書を読むことで,正しい字形の文字のみを含む文書や,G-IMで採用したごくわずかに異なっている誤字形文字を含む文書を読む場合よりも,有意に漢字字形記憶を強化できること,および,正しい字形の文字のみを含む文書を含む場合よりも負荷が増加しないことを確認した.

雑誌名
インタラクション2022論文集
© 情報処理学会 2022
論文ID
INT22008
ページ
68-76
発行日
2022年2月21日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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