情報処理学会 インタラクション2021

文献情報

タイトル
人と機械による協調型エコーロケーションの提案
著者
  • 渡邉 拓貴(北大)
  • 角谷 美和(JSPS)
  • 寺田 努(神戸大)
アブストラクト
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エコーロケーションとは音を用いて周囲の状況を認識する技術であり,一部の視覚障害者は舌打ち音等の可聴音によりこれを実現できる.エコーロケーションにおいて超音波を用いると,より詳細な情報の取得等の利点があることが先行研究より報告されているが,通常の人間の能力では,超音波の発信/取得は困難である.本研究では,ウェアラブルコンピューティング環境であれば,デバイスにより超音波の発信と反射音の可聴化が可能であることに着目した.さらに,超音波可聴化のためにデバイス内で信号を処理するため,可聴化と同時に機械学習でも認識が可能である.従って本研究では,超音波を可聴化した音を用いた人による認識と,機械学習による認識を組み合わせた,協調型エコーロケーションを提案する.具体的には,スピーカから超音波信号を発信し,反射音をマイクで検出する.人は,低周波に可聴化された反射波の音色で物体の違いを認識する.機械は,反射波から得られる音響特徴量により認識を行い,ユーザの指定した物体を認識した際に振動で物体の存在を通知する.提案手法により,ユーザは自身の耳で得られる情報と,機械により得られる情報を組み合わせた物体の探索が可能になる.協調型エコーロケーションの実現に向けて,本稿ではエコーロケーションにおける機械学習の有効性について調査した.プロトタイプを作製し評価を行った結果,機械学習による物体の認識精度は,6種類の物体に対して平均92.5%であった.また.機械学習の有無による物体の探索行動の変化を10人の被験者に対して評価した結果,機械学習により探索時間が平均71.5秒から45.9秒に減少した.さらに,機械学習を加えることで,エコーロケーション時の精神的負荷が有意に減少した.

雑誌名
インタラクション2022論文集
© 情報処理学会 2022
論文ID
INT22013
ページ
115-124
発行日
2022年2月21日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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