情報処理学会 インタラクション2025

本研究では，3Dモデリング作業の効率化と直感的な視点操作を実現するため，トラックボールを用いた低価格な3Dマウス「ParRot」を提案する．既存のジョイスティック型3Dマウスは高価かつ習熟に時間を要するという課題があるのに対し，ParRotはトラックボールの回転量を直接カメラ操作に反映し，視点の回転・並進をボタン切り替えによって明確に分離することで，初心者でも素早く直感的に扱える設計とした．さらに，ユーザがファームウェアを再コンパイルすることなくショートカット割り当てを変更できるWebアプリケーションや，Autodesk Fusion向けのアドインなど，周辺ソフトウェアを含むエコシステムを構築している．評価実験としてアンケートや操作時間測定テストを行った結果，特にモデリング初心者においてSpaceMouseやマウス＆キーボードよりも迅速かつ正確な視点調整が可能であることを確認した．本稿ではParRotの設計・実装および評価実験の結果を報告し，今後の改良点や拡張の可能性について議論する．