情報処理学会 インタラクション2025

スマートフォンでウェブサイトやアプリを利用するとき，ボタンやリンクなどのユーザインタフェース（UI）要素をタップ操作で選択することが一般的である．HCI分野ではこれまでに様々なタップ操作の成功率推定モデルが提案され，それらはUIデザインに活用できると主張されることが多かったが，実際の開発現場で利用された例は見当たらない．我々はそのようなモデル活用の実例として，Dual Gaussian Distribution Modelを用いた2つのツール群「Tappy」を一般公開した．1つはウェブアプリケーション版であり，URLを指定するだけでウェブページ上のタップ可能な要素を特定し，その大きさに基づいてタップ成功率を推定する．もう1つはFigmaプラグイン版であり，設計中のアプリなどに含まれるUI要素のタップ成功率を表示する．本稿ではTappyの理論的背景および機能を説明し，公開後の利用状況およびウェブアプリ版の社内利用者インタビュー結果について述べる．