Fresh From the Oven Session プログラム

会場:一橋記念講堂

2010年3月1日(月) 14:30〜15:30

  1. トランスフォーメーションボード
    金澤麻由子 (MayuArt.com), 井村誠孝(大阪大学),金谷一朗(大阪大学)
    作品「トランスフォーメーションボード」は,作品の前に立った子供たちが,スクリーンの中で動物のアニメーションへと「変身」していくものである.本作はカナダ先住民の精神世界を子供たちが体感できるように制作された.カナダ先住民にとって「変身」は人間と動物,神々との深いつながりを示唆するものである.本作はインタラクティブメディアとして変身のコンセプトを具現化したものである.
  2. 実世界でのモバイル端末を用いたウェブ行動と連携した位置情報システム
    田島逸郎(埼玉大学大学院文化科学研究科)
    既存のモバイルを用いた位置情報サービスでは、メタデータ付加には入力が煩雑だったり、詳細な情報が伝えられないという現状にある。本発表では、ソーシャルブックマークに着想を得て、ユーザーの屋外でのウェブ使用行動に注目し、現在見ているウェブページに簡単に位置情報を付加するシステムを提案する。これにより、例えばネットで見つけた店舗やイベントなどを、位置情報を付加した形で、簡単かつ詳細に共有できる。
  3. 未病者のための情報提示手法の提案
    楊 旭,藤田恭平,森 郁彌,金屋陽介,加藤圭吾,西本一志(北陸先端科学技術大学院大学)
    日々コンピュータを使い続け,首や肩に違和感を持つ「未病状態」にあるVDT作業者のために,自然に首や肩の運動を促す機能を持った情報提示手法について提案する.
  4. ラジオマーカ: 仮想オブジェクト位置に音像を再現するAR マーカ
    吉川祐輔,宮下芳明(明治大学)
    拡張現実感は,カメラで撮影している映像に仮想オブジェクトが「そこにある」かのように提示するものが主である.そのオブジェクトが音を発する場合,オブジェクトが「そこにある」ならば,「そこ」から音が聞こえる方が自然だと考えた.本発表では,スピーカ付きのマーカを複数用い,いかにもオブジェクトのいる位置から音が鳴っているかのような音場を提示することで,オブジェクトの存在感を強調するシステムを提案する.
  5. Camera Shake Sequencer: ブレた写真を撮る新しいカメラの研究
    中林隆介,宮下芳明(明治大学)
    現在,カメラはより手ブレを軽減するように進化し続けている.しかし,ブレた写真の中には人を惹きつける魅力的な写真も存在する.本稿では,現在のカメラでは実現しがたいブレた写真を意図的に撮り,かつそのブレをデザインできるカメラを提案し,カメラを使った新しい映像表現の実現を目指す.

2010年3月2日(火) 13:40〜14:40

  1. emergent palette
    大嶋泰介(慶應義塾大学 環境情報学部 田中浩也研究室)
    セルオートマトンの方法論を応用し、創発現象に人間が介入するシステムの提案です。 サンプルコンテンツとして、色が混ざるという現象をセルオートマトンでモデリングし、 ある色に収束するまでの過程に人間が介入できる、インタラクティブなカラーパレットを 制作した。このコンテンツはソフトウェア上のプログラムです。
  2. 人と魚のインタラクション
    柴 哲(電気通信大学大学院 電気通信学研究科 電子工学専攻 内田研究室)
    飛行船ロボットと魚ロボットの特徴を併せ持つバルーン魚ロボット(BFR)を開発している。 BFRと人のインタラクションを専用の手袋型入出力装置を用いて行い、まるで海中で人と魚が 戯れているような雰囲気を作り出す。開発中の装置はBFRの直感的操縦を目標とし、 手で魚の動作の真似をして操縦する方法を検討している。まだ開発途中だが、人と魚の インタラクションの様子を動画で披露し、目標のシステムの概要を説明する。
  3. 実物体と組み合わせる別物体をデザインする手法
    五十嵐 悠紀(東京大学大学院工学系研究科)
    既に実世界に存在する物体Aと組み合わせる別の物体Bを設計するということは大変な作業である.通常,物体Aの長さを計測して設計図を描き,CADシステムなどを用いて物体B のための図面をデザインすることが多い.本提案手法はデザインしたい物体Aの写真をレファレンスとして用い,コンピュータ上で写真の上から物体Bの図面をデザインしていく.この写真を撮影する際に,チェッカーボードを一緒に写しておくことで現実世界との長さの対応を取る.本手法をいくつかの既存のおもちゃを元に別物体をデザインすることに適用した.ユーザがデザインした図面をベクターデータとして出力し,レーザーカッターを用いて作品を出力することで物体Bを作成した.ユーザに使用してもらい,本システムの有効性を示した.
  4. Collaborative2010コアメンバ(情報科学系)の募集
    野村亮太(九州大学大学院人間環境学研究院・助教)
    Collaborative2010は,場(複数の要素が時間・空間を共有している状況)に開かれた協調現象の研究方法を皆で考えていくことを目的とします。そのために,自由に議論できるWebシステムを作りました。7名程度のコアメンバを中心に“場に開かれた思考群”を構成し,全体として新しい知(発想・方法・知見)を生み出していくことを目指します。各自のテーマは自由ですが,演芸の“場”,合気道の動作解析,ロボットの歩行などを想定しています。
  5. 「原石」はどこ?:「みんなの意見」を超えて
    鈴木 聡(青山学院大学)
    協調作業・協調学習支援の研究や,いわゆる「群衆の叡知」「集団的知性」 に関する研究の多くは,ユーザ同士の相互作用の活性化や,集団としての意 見の集約に着目している.しかし,卓越した考えをもつユーザを検出し,そ の考えの洗練を目指す研究は,その可能性について指摘する知見も現れつつ あるものの,いまだ少ない.本発表は,卓越した考えの候補になりうる「原 石」を掘り当て,磨く研究アプローチを提案し,実例を紹介する.
  6. インタラクションデザイン研究会の提案
    渡邊恵太(科学技術振興機構),坂本大介(東京大学/日本学術振興会)
    インタラクションデザイン研究会の提案を行う。世界的なインタラクション研究への注目度の高まりにもかかわらず、 日本の本研究領域における国際競争力は低く、また国際的存在感も薄い。本研究会では未だ明確に定義することが難 しい本研究領域において、学術領域だけでなく産業界においても有益な情報の共有、とくにユーザ観察手法やシステム 評価手法に関する知識共有の場を提供し、世界を継続して刺激することができるイノベーションの創出手法の模索を行う。


2010年2月25日:西本一志(北陸先端大)作成