情報処理学会 インタラクション2016

近年，コミュニケーション障害や引きこもりなどの対人関係不全が社会問題化しており，その対策は急務である．対人関係不全の原因の一つに，情動に影響を与える非言語情報（社会的情動信号）の過多や過少がある．対面状況においては視線や対人距離などの社会情動信号に対する過剰な情動反応が社交不安を発生させる．我々は 1 対 1，1 対多を含む対面状況における社交不安の緩和のため Mobile Personal Spaceを提案する．Mobile Personal Space は人を覆う物理的な殻で，人の動きに追従して移動する．殻の内外にカメラを備えており，撮影された映像に処理を加え，殻の内面と外面に設置されたディスプレイに表示することによって，外界の見え方と外界からの見え方を制御可能な社会情動信号のフィルターとして機能する．