情報処理学会 インタラクション2020

基調講演

AI on Animals: 行動認識技術とバイオロギングの融合による野生動物観測

前川卓也
大阪大学大学院 情報科学研究科・准教授・博士(情報科学)










概要

バイオロギングは、動物にセンサデバイスを直接装着することで、目視観測では困難な粒度の細かい行動観測を実現する手法です。しかし動物に装着できるデバイスやバッテリの重量は限られエネルギー消費の大きいセンサ(例:カメラ)を常に稼働し続けることは困難であるため、生態学的に重要な発生頻度の低い行動を観測することは困難でした。本講演では、デバイス上に動物行動認識手法を実装し、知的にバイオロギングデバイスを制御する試みや、得られたバイオロギングデータの分析手法について、生物学者との共同研究によりNature Communications誌およびCommunication Biology誌に発表した内容を紹介します。

略歴

大阪大学大学院情報科学研究科 准教授
1980年生まれ。兵庫県宝塚市出身。
2006年大阪大学大学院 情報科学研究科 博士後期課程修了、NTT入社 コミュニケーション科学基礎研究所配属、2012年より現職。IPSJ/IEEE Computer Society Young Computer Researcher Award (2019年)、第一回大阪大学賞(若手教員部門)、日本データベース学会 上林奨励賞(2014年)など受賞。ユビキタス、ウェアラブルセンサを用いた行動認識や屋内位置推定、人間・動物行動のデータマイニングなどの研究に従事。これまでにIMWUT, Ubicomp, Percom, AAAI, ISWC, WWW, SIGIRといった著名会議やジャーナルにて論文発表している。


鳥のセンシング実験中にアザラシに遭遇したところ