情報処理学会 インタラクション2024

スポーツ学習において，動画観察は一般的な学習方法である．しかし，動画では重要なフレームとそれ以外が一定の速度で提示されるため，重要な動作やポーズのタイミングを正確に捉えることが難しく，特にダンスのようなタイミングが重要な身体運動の学習においては認知負荷が高い．そこで我々は，動画からキーフレームを抽出し，コマ送りで提示する手法により，認知負荷を軽減し，ダンス学習効果を向上させると考える．動画とコマ送りを比較した事前実験を通じて，コマ送りでは次の動作の予測が難しく，またダンス学習において手首の学習が特に困難であることが示唆された．この結果を元に，コマ送りと動作軌跡の可視化を組み合わせたVRアプリケーションを開発し，従来の動画ベースの手法との学習効果を比較する評価実験を行った．結果，提案手法は従来の手法と比べ，リズム感と振付の正確性を共に向上させる傾向が見られた．初心者，経験者，プロを対象とした実験結果から，コマ送り提示の利点を確認し，身体運動の学習における潜在的な使用方法の可能性を議論する．