情報処理学会 インタラクション2026

文献情報

タイトル
360度振動提示によって動的物体の接近・離反をどのように認知するか? -物体接近把握・回避行動に向けたRtD的アプローチ-
著者
  • 内藤 雅貴(東京電機大学)
  • 武川 直樹(東京電機大学)
  • 下川 隼輝(東京電機大学)
  • 戸塚 海太(東京電機大学)
  • 薙野 智哉(東京電機大学)
  • 東 孝文(島根大学)
  • 小林 春美(東京電機大学)
  • 中村 明生(東京電機大学)
アブストラクト
説明画像

本研究は,360度全周的に提示される振動刺激を通じて,人が動く物体との相対的な関係変化(接近,通過,離反 )をどのように知覚するのかを,Research t hrough Design(RtD)の立場から探究するものである.アーティファクトとして,対象物との距離変化に応じて振動パルスの密度が変化する,全周囲振動提示デバイスを設計・実装した.このアーティファクトは,完成された支援システムとしてではなく,触覚刺激の時間構造が空間知覚をいかに生成するかを問うための媒介として位置づけられている.観察では,視覚情報を遮断した状態で,ユーザが静止し,周囲の物体のみが移動する状況で実施した.観察の結果,対象物の接近・衝突・通過・離反は,個別の刺激としてではなく,一連の時間的に連続した出来事として知覚されている事例が確認された.また,全周的な振動提示により,背後を含む空間関係が把握され,視覚的確認を伴わない回避行動が生じる事例も観察された.これらの事例から,触覚刺激による空間知覚が,距離や方向の認知ではなく,時間構造をもつ関係変化として成立している可能性が示唆された.本研究は,触覚提示を「情報伝達手段」としてではなく,「出来事としての空間を経験させるデザイン」として捉え直す視座を提示する.

雑誌名
インタラクション2026論文集
© 情報処理学会 2026
論文ID
3C57
ページ
1169-1174
発行日
2026年2月20日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台一丁目5番地 化学会館4F
TEL. 東京 (03) 3518-8374 (代表)
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