情報処理学会 インタラクション2026

文献情報

タイトル
多様なアルゴリズミック・リコースがもたらす主観的な利益とコストのトレードオフ
著者
  • 冨永 登夢(NTT株式会社人間情報研究所)
  • 山下 直美(NTT株式会社コミュニケーション科学基礎研究所/京都大学大学院情報学研究科)
  • 倉島 健(NTT株式会社人間情報研究所)
アブストラクト
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アルゴリズミック・リコースとは,ユーザがAIシステムから下された不利な判定を覆すための反事実に基づく行動計画を指す.多様な (複数の) リコースが提供された場合,ユーザの判定に対する理解度や行動計画に対する実行意欲は向上し得るが,反事実的思考に由来する認知的負担や感情的負荷も同時に増大しかねない.このトレードオフを明らかにするため,本研究は自動車ローン審査を再現する被験者間計画の統制実験 (N=750) を実施した.我々は,特定の数 (1, 3, 7) の反実仮想サンプルを以下のポリシーで選ぶことで,リコース集合の多様性を実験的に操作した:近接性のみ考慮するClose集合,近接性と相互差異性の双方を考慮するDiverse集合.結果として,リコース数が3の時,Diverse集合はClose集合と比較して主観的利益,特に実行意欲,を向上させた.また,Diverse集合において,主観的利益はリコース数が3と7で同等であったが,認知的負担はリコース数に比例して増加した.定性的分析から,Diverse集合の被験者は,有意義で心理的に抵抗感のないプランを見つけられたことが分かった.これらの結果は,主観的な利益とコストのバランスは少数の多様なリコース集合により最適化されることを示唆する.

雑誌名
インタラクション2026論文集
© 情報処理学会 2026
論文ID
INT26007
ページ
51-60
発行日
2026年2月20日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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