情報処理学会 インタラクション2015

文献情報

タイトル
高齢者向け住空間状況理解システム高度化のためのマルチモーダル体感分析
著者
  • 川崎 進也(静岡大)
  • バルガス 晴夫(静岡大)
  • 柴田 健一(静岡大)
  • 石川 翔吾(静岡大)
  • 桐山 伸也(静岡大)
  • 竹林 洋一(静岡大)
アブストラクト
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本稿では,多様な高齢者に適応した住空間サービス提供のため,高齢者の体感特性をマルチモーダル分析した結果について延べる.高齢者は,暑さと寒さに対する感覚が鈍くなり,その傾向が個人ごとに異なる.高齢者が安心して健康に過ごせる住空間を実現するには,人によって異なる体感を理解し,個々に適応したサービスを提供する必要がある.我々はすでに体感情報に基づいて空調制御を行う住空間状況理解システムを構築している.住空間に関する万人共通の知識を収集したインドアコモンセンスに基づいて状況に応じた機器制御が可能であるが,一人ひとりの高齢者に適応したサービス提供のためには多様な個人特性に関する知識の蓄積・活用が必要である.この観点から,高齢者の多様な体感特性を理解するのに役立つ状況要因を調査するため,実環境における体感入力実験を実施した.体感の個人性の違いに着目した分析により,温度に関する体感の変化に敏感か鈍感かが被験者によって異なる可能性が示された.また,体感入力時の状況を詳細分析したところ,同時刻に同じ環境にいても暑さ寒さの体感が異なる場合があり,会話への関心・参与の度合いが体感の違いに影響することが示唆された.多様な体感特性を持つ高齢者に適応した空調制御の実現に向け,個人特性の違いを考慮した状況理解システムの高度化につながる知見を獲得した.

雑誌名
インタラクション2015論文集
© 情報処理学会 2015
論文ID
A08
ページ
172 ~ 174
発行日
2015年2月26日
発行所
発行人 一般社団法人 情報処理学会
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