インタラクションに初めて参加される方へ

■はじめに

学会は学術会議の略ですが、何か議論をして結論を出す、いわゆる会議とは少し違います。いろいろな研究の成果について発表し、その成果に対して議論をする場が学会です(たとえば情報処理学会があります)。研究成果の発表の場としては雑誌・論文誌とよばれる紙の発表形式と、会議発表とよばれる人を前にしての発表形式がよく使われます。インタラクションは会議発表をする場となっています。

■会議発表の形式

会議での発表には大きく分けて口頭発表とポスター発表の二つの形式があります。口頭発表は、発表者が、参加者(聴衆)に対面してスライド(最近では多くの場合、パソコンとプロジェクタによるプレゼンテーションが使われます)を用いて発表する形式です。一人の発表者が、一度に大勢の参加者に発表できるのが特徴です。インタラクションでは「一般講演」とよぶセッション(発表時間をセッションとよぶ単位で区切っている)において口頭発表の形式をとります。

ポスター形式では、発表の内容を記したポスター(多くの場合はポスターサイズに拡大印刷した紙を掲示する)を使って、発表者が一人から数名の参加者と対話しながら発表をする形式です。一度に少数の参加者にしか発表は出来ませんが、参加者に応じて様々な議論が出来ることが特徴です。1つの発表に必要なスペースが、口頭発表よりも小さいので、一般に複数のポスター発表を同時に進行します。発表の会場には、同時に発表する発表の数だけ、ポスター掲示場所を用意し、発表者が持参したポスターを掲示して、参加者が訪ねてくれるのを待ちます。

インタラクションではポスターに加えて、研究内容を説明するために有用なデモ機材を持ち込むことが出来る場を用意しています。実際にデモをすることで始めて伝わる内容もあり、口頭発表とは違うよさがあることから、他の会議のようにポスター発表とはよばず、「インタラクティブ発表」とよび、発表時間を「インタラクティブセッション」とよんでいます。

■インタラクティブ概要説明

通常ポスター形式で発表をする場合には一度に大勢の参加者への発表機会はありません。参加者は、限られた時間で、発表を聴くためにあらかじめ、複数の発表の中から興味のある発表を選びます。その際には、発表タイトルや概要を書いた文章を頼りに興味があるかどうか判断するのですが、どうしても見落としてしまうことがあります。

そこでインタラクションでは、インタラクティブ発表にも、口頭発表と同様に1度に大勢の参加者へ発表する場を設け、「インタラクティブ概要説明」とよんでいます。インタラクティブ概要説明では、インタラクティブ発表の発表者が30秒間(2012の場合)で、自身の発表をアピールします。概要説明のときには、A4の紙に印刷した内容を投影できるよう、書画カメラを用意しているので、発表される方は活用してください。

■インタラクティブ発表に関わる賞

優れた発表に対して会議で賞を授与して表彰することが多くあります。インタラクション2012では、口頭発表に「ベストペーパー賞」、インタラクティブ発表には「インタラクティブ発表論文賞」と「インタラクティブ観客賞」を設けています。口頭発表のベストペーパー賞とインタラクティブ発表のインタラクティブ発表論文賞は、論文の内容を査読した結果に基づき、プログラム委員からの推薦で受賞が決まります。「インタラクティブ観客賞」は参加者からのインタラクティブ発表当日の投票を基に受賞が決まります。観客賞を設けているのは、論文査読だけではわからない、デモによって分かる発表全体のよさを表彰するためです。